持ち家が経済的に有利だった時代があった
私は1973年生まれですから、1960年代後半から1970年代の経済状況というのは書籍やテレビ、父との会話の中でしか分かりませんが、私が物心ついた時代とは随分ちがった状況だったようです。
父から聞いた話をまとめると
- 預金をすると利息は年利で3%とか5%あった
- 給料は毎年数%から十数%アップした
- 土地や家の価格は年々上昇した
- 早くに家を購入した人は遅くに購入した人より安い金額で都心に近い場所の家を購入できた
まぁ、要するに『インフレ』だったわけです。
インフレとは?
インフレーション - Wikipedia 以下の引用は全てWikipediaより引用。
インフレーション(inflation)とは、経済学においてモノやサービスの全体の価格レベル、すなわち物価が、ある期間において持続的に上昇する経済現象である。日本語の略称はインフレ。日本語では「通貨膨張」とも訳す[1]、俗称は「右肩上がり」。反対に物価の持続的な下落をデフレーションという。
端的にいうと『お金の価値が減少していく』状況です。今日の1000円は、来年の1000円より価値がある。来年の1000円は今日の1000円より価値がない。という状況です。インフレ下では、毎年価値が減って行くのですから現金を持っていると損です。逆に、借金はお得です。
1956-1972年のインフレ率は平均で約4.5%であった[18]。
毎年、4.5%ずつ物価が上がっていく=貨幣の価値が下がって行く。という状況だったわけです。
インフレの反対はデフレです。デフレーション。物の価値が下がって行き、お金の価値が上がっていくわけです。
資産インフレ
狂乱物価後、インフレーション傾向は弱くなったが、供給に制限のある土地投機に支えられたバブル経済が進んだ結果、資産インフレが急激に進行した。1955年度から1990年度までのバブル経済期まで、消費者物価の上昇幅は約5倍に留まったのに対し、全国平均の住宅地価は約72倍に上昇した
1955年から1990年までの状況をまとめると、借金の価値は5分の1になったが土地の価値は72倍になったということです。1955年に1000万円(1990年の物価からすると5000万円の価値があった)の借金をして、1000万円の土地を購入した人は、1990年には7億2000万の土地を持っていることになったのです。35年で資産が名目上72倍になったのです。どこのカリスマトレーダーですか?!というような、とんでもないリターンです。この状況を見ていれば、『借金をして土地を買う』ことが不合理だとか不利だとか言う人はいないでしょう。
しかし時代は変わりました。バブル崩壊以後はインフレからはほど遠い状況です。政府はどうにかしてデフレを脱却しインフレにしようとしていますが、なかなかうまくいっておりません。不動産価格がかつてのように上昇することも考えにくい状況です。
2014年10月時点では。。。
結局のところ持ち家を購入するということは、『借金をして不動産を購入する』=『レバレッジをかけて不動産投資を行う』ということであり、インフレ時には非常に有利な投資手法・資産形成方法ですが、デフレ下では逆に不利になります。借金の価値は減らないし、不動産の価値も上がらないからです。
結論
私自身は、『自分が住む不動産を購入する』というのは以下の理由であり得ない選択です。
- 仕事のあるところに住む(そのためには場所に縛られてはいけない)
- 購入する不動産は貸しやすい不動産であるべき(家族で住む不動産は貸しにくい)
- 購入する不動産は利回りが十分(目標名目利回り12%/年)とれているべき
- 必要な広さ、間取りはずっと一緒ではなく状況により変化する